「人は生まれながらにして善良である」と言われる性善説と、「放っておくと自己中心的になる、悪い存在である」とされる性悪説。
あなたはどちらの説を信じていますか?
これまでの私、実は性悪説を信じてました!
というのも、学校ではいじめに遭うことが多く、会社でも他の女性社員とは距離を置かれる日々。
最近だと、クライアントからの支払いが受けられないことがしょっちゅうで、自衛策を取らざるを得なかったから。
ですが、私のように「他人をあてにしてはならない、信じられるのは自分だけ」と、皮肉な気持ちになりがちな方に手に取ってほしい本が「 human kind - 希望の歴史 」です。
以前からこの本の存在は知っていましたが、あまりの分厚さにスルー(苦笑)
ただ、メンターから「ぜひ、この本は読んでみて!」とすすめられて、最初は渋々手に取りました。
お金を行動のインセンティブにすると、働くモチベーションが下がる
「これは!」と最初にビックリしたのは「『お金が欲しい』を理由にして働くと、いいことがない」と書かれてあったことです。
「生きるためにお金が欲しい。だから、お金を得るために働く」
当たり前のように思えますが、実はそうではないようです。
彼(注:デシ)は学生の被験者に、パズルを解くというタスクを与えた。しかし、報酬として一ドルを与えると、とたんに彼らはやる気をなくした。「お金はたしかに効くようだ」と後にデシは説明した。「ある活動へのモチベーションを下げるためには」
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・下巻:90ページ
「言われてみれば、確かにそうだなぁ」と思える経験がありました。
ブラック企業でも喜んで働いていた私
これまでに、私はいくつかの仕事をしてきました。
学生時代には書店の販売員やコンビニバイト、事務作業、家庭教師を。
社会人になってからは、システムエンジニアとして6年間の会社勤めをしました。
これらの経験を通じて、私はどうやら働くことについて、お金を得ることよりも重視しているポイントがあることに気づいています。
そのポイントとは「誰かの役に立っているかどうか?」です。
今、振り返ると、私が選んだほとんどの仕事は、システムエンジニアをはじめとして労働時間が長く、給料も決して高くありませんでした。
ただ、とある省庁に事務のアルバイトに行った時だけは、自分のやっていることに対してもらえるバイト代があまりにも高くてびっくり!
めっちゃ楽勝!ずっと続けたい!!
でも、仕事内容が「これは果たして、誰かの役に立つのか?」だったので、どんどんつまらなくなり、徐々に無断欠勤の日が増えて。
結局は途中でやめてしまいました(当時の担当の職員さん、申し訳ありません!)
唯一の例外は家庭教師。
明らかに誰かの役に立っていてバイト代も良かったので、学生時代で終わるはずが、結局は社会人になってからも何年間か続けていました。
本当はこういう仕事ばかりになれば、いいのですけれどもね。
報酬の増額を要求しないことで、報酬が上がる外注先
プロフィールにもある通り、私は小さな企業の経営者です。
雇用している社員はいませんが、業務委託で何人かのスタッフに仕事を依頼しています。
業務委託をしている大半のスタッフは、残念ながら目先の報酬に目がくらみ、すぐ辞めます。
なので、過去には定着率のアップが最重要課題だった時期もありました。
スタッフの管理、めんどくさい!もうやめたい!!
ですが、今では違います。
「お金だけではなく、誰かの役に立っている」を喜びとするスタッフのおかげで、少数精鋭を実現できました!
「誰かの役に立つ」をモチベーションにしているスタッフの持つ特徴
- 成果物のレベルが高い
- こちらから「報酬アップしましょうか」と提案をするので、結果的に報酬が上がるまでの期間が短い
- 定着率が高く、長期間に渡って仕事を引き受けてくれる
本来は業務外である改善策の提案や、他にも「気がついたので、ついでにやっておきました」といった小さなサービス作業を通じて
- クライアントは「気が利くね、ありがとう」と喜んでくださる
- スタッフ本人も、役に立っている実感が持てて嬉しい
- 私が儲かる(笑)
と、誰かの役に立つ行動を選ぶことで、関係する誰にとっても良いことづくめ!
働いている以上は収入が得られることも重要ですが、それ以外の要素も決して小さくはないですよね。
マスコミは、やっぱり「マスゴミ」
あともうひとつ「これは!」とピンと来たのが、マスコミに対する記述です。
これについては、私もまったく同じ意見です。
マスコミから得られる情報は、害ばかり
マスコミやメディア、ニュースについて、この本ではかなりの部分を割いて書かれています。
大きな問題だと、筆者のルトガー・ブレグマンさんは思っていらっしゃるのでしょう。
しかし、このような番組(注:リアリティ番組)の舞台裏をじっくり調べてみると、驚くような方法で、出演者たちがけしかけられ、挑発され、互いと争うように導かれていることがわかる。それが語るのは、人間の最悪の部分を引き出すには、いかに多くの小細工が必要か、ということだ。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・上巻:65ページ
科学者が人間はキラーエイプだと述べると、メディアはその研究に飛びつくが、科学者が逆のことを主張した場合は、ほとんど誰も耳を貸さない、というパターンである。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・上巻:119ページ
科学者が人間はキラーエイプだと述べると、メディアはその研究に飛びつくが、科学者が逆のことを主張した場合は、ほとんど誰も耳を貸さない、というパターンである。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・上巻:119ページ
ほとんどのイギリス兵は、ドイツ兵のフレンドリーさに驚いた。母国にいた時には、「デイリー・メール」などの新聞で目にするプロパガンダやフェイクニュースによって惑わされていた。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・下巻:202ページ
基本的なラインとしては「マスコミは人が注目する内容で発信するので正確さに欠け、時には悪意をかきたてることもあるのだ」と。
ニュースを見なくても、日常生活では何も困らない
実は私、よほどのことがない限り、新聞やネットニュースを見ません。
子どもの学校からのお知らせでコロナの患者さんが増えているのを初めて知るくらい、「メディアに触れない」を徹底しています。
そんな私ですが、大事な情報は誰かが教えてくれます。
まさしく「ヒューマンカインド」
1年以上、ニュースを見ない生活を続けていますが、まったく困っていません!
日常生活から私がマスコミ情報をシャットアウトしている理由は、昨年の冬に「 News Diet(ニュースダイエット) 」という本を読んだから。
「 human kind - 希望の歴史 」に興味がある方は、こちらも合わせて読むと
- 本来、人間は人間は性善説で生きている
- にも関わらず、余計な情報が大量に入ってくるために、性悪説で生きてしまいがち
以上の2点が納得できるかな、と。
年間100冊以上読む私が、昨年、読んだ本の中でナンバーワンだと思っているのが「 News Diet(ニュースダイエット) 」
もう1年ほど前の本ですが今でも十分に使える内容なので、こちらも読んでみてくださいね!
でも、悪意の中に自分を放り込むみたいに思えて、性善説で生きるのは怖い
とはいえ、本を読んだだけの今の状態では、馴染みのない人に嫌悪感を持つことをやめるのはまだハードルが高いです。
見知らぬ人に対する警戒感を持つ必要はない、と思うのが怖い。
これが私の持つ、正直な気持ちです。
昔の「世界」は狭くて馴染みのある、居心地の良い場所だった
今から40年ぐらい前、私がまだ子供だった頃は、自分の世界は実際に会える人と遠い世界であるテレビだけでした。
自宅の近くであれば知らない人に会うことも多くなく、家の近くで行動している限りは過剰に警戒する必要はなかったですね。
家の近くなら、安心、安全!
学校でいじめられたり会社で爪弾きに会うことはあったものの、いきなり後ろから刺されるような得体の知れない恐怖はまったくない状態。
全体を通じて言えば、いつもの馴染みの人ばかりで構成される、居心地のいい状態で暮らしていたと言えます。
インターネットの発達で「世界」は敵だらけに
でも今はインターネットのおかげで、自宅の中から気軽に世界中の人と繋がることができるようになりました。
メリットもたくさんありますが、SNSを利用することで「いつ、自分が炎上に巻き込まれるか分からない」新たな不安が生まれたのも事実です。
現代の親は子どもに、知らない人と話してはいけないと教えるが、旧石器時代の子どもは、信頼を栄養として育てられた。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・上巻:133ページ
馴染みのない人に嫌悪感を持つのは、人との交流範囲が狭かった100年前なら問題なかったのかもしれません。
ただ、インターネットという新しい世界が広がった今では、「馴染みがないから」という理由で手当たり次第に警戒していたのでは何もできないよね、と。
ネットがない生活なんて、もう考えられませんよね。
このあたりのバランスを取るのは、今後の私を始めとした人類の持つ課題かもしれません。
根拠のない思い込みは恐ろしい
この本を読んだ私が知ったこと。
それは
「人間とはこういうものだ」と思い込んでいる中に、いくつかの事実と反する考え方がある。
「 human kind - 希望の歴史 」の本文中にも、ミルグラムの電気ショックに関する実験やスタンフォード監獄実験に関する疑わしい点、そして新たな仮説が書かれていました。
過去の心理実験の記録を整理して出てきた、新たな仮説
- 人間は良いことをすることで気持ちが良くなり
- 悪いことをすると嫌な感情を持つ
何十年もの間、これらの心理学に関する実験は事実を表しており、人間は残酷なことが平気でできる。
つまり、性悪説の根拠とされ続けてきました。
なのですが、こうして逆の仮説を見せられ、自分で考えることが大事だなぁと、つくづく思っています。
学校でも「考える力」が重視されているなって、子どもを見ていて感じます。
インターネットやマスコミを通じて、嘘か本当かパッと見た目ではわからない情報が氾濫している今。
自分で情報を収集するための能力を上げることはもちろん必要ですし、さらに
- 出た情報を様々な視点から見る習慣
- 情報の受け売りではなく、自分の考えを持つ重要性
こういったこともこの本を通じて、改めて大事だよねと感じているところです。
「 human kind - 希望の歴史 」は、こんな方に読んでほしい!
今回ご紹介した本「 human kind - 希望の歴史 」を、私はこんな方に読んでほしいなと思っています。
すぐに他人を信用することを、問題だと思っている方
まずはすぐ他人に騙される自覚のある方に。
本の最後の方に、こんな記載がありました。
時々は騙されるという事実を受け入れたほうがはるかに良い、と彼女(注:心理学者でプロポーカーの、マリア・コンニコワ)は言う。なぜならそれは、他人を信じるという人生の贅沢を味わうための、小さな代償だからだ。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・下巻:210ページ
人を信じるからこそ騙されるのであり、一度も騙されたことがない人の方がむしろ問題アリなのではないのかな、というわけです。
人を信じられることあなたの美点なので、これからも自信を持って人を信じ続けてください!
「他人なんて信用できない」人間不信の方
それから、私のようにまったく他人を信じられずに「世界での中で私は一人ぼっち」と思い込んでいる方にも。
今、思えば、
これって、悲劇のヒロインごっこをしているだけなのでは?
と、今では恥ずかしい思いをしています(苦笑)
本当は、本文中にもある通り
わたしたちは大都市でも、地下鉄でも、混み合った街路でも、一人ぼっちではない。わたしたちには、助け合う他者がいるのだ。
Human kind(ヒューマンカインド) - 希望の歴史・上巻:255ページ
なのですから。
少しずつ私も、心のガードを下げて身の回りの人を信じることから始めますので、ぜひあなたもご一緒に!
ご家族に発達障害、またはグレーゾーンと思われる方がいる
さらに、発達障害のお子さんをお持ちのお父さん、お母さんにも、この本はとてもおすすめです。
またいずれどこかで触れようと思っていますが、発達障害というものは存在しないと私は考えています。
あちこちに気が向くのは発達障害ではなくて、個性の一部です!
本文中にはそれほど発達障害についての記述はありませんが、すべてを読むことで発達障害を個性と認めて、受け入れる心境の変化が期待できます。
人は独りぼっちでは生きていけない以上、性善説を持っていた方が何かとお得、というわけで!
「
human kind - 希望の歴史
」
今すぐ読みたい方はこちらから購入できます!